その磨き方、実は逆効果? 正しい歯磨きのポイント
「毎日しっかり磨いているのに、虫歯や歯周病になってしまう」。
患者さんからこのような声をよく耳にします。実は、歯磨きには“歯科利用的に正しい磨き方”があり、意外と多くの人が自己流の磨き方で満足してしまっているのが現状です。特に忙しい現代では、習慣的に磨いていても、実際に「どれだけ汚れを落とせているか」まで意識できていないことが多くあります。
相模原駅ビル歯科では、バイオフィルムの性質や歯ブラシの選び方、電動歯ブラシの正しい使い方まで、歯磨きの本質を歯科医の視点から詳しく解説してみようと思います。医療従事者の方が患者指導でそのまま使える内容にまとめています。
なぜ「磨いているのに虫歯になる」のか?
磨いているのに虫歯になる理由は、単純に「磨けていない部分がある」からです。ただし、患者さんにとっては「毎日磨いている」という事実があるため、この現実を受け入れるのは容易ではありません。
しかし実際には、
・歯ブラシが届きにくい部分
・歯並びの凹凸
・利き手による偏り
・噛み合わせによる歯間の狭さ
などによって、どうしても磨き残しができてしまいます。
歯科医院や歯科衛生士によるブラッシング指導では、染め出しなどの視覚的ツールを使って、「自分では気づけない磨き残し」の存在を具体的に示してあげることが、患者さんの納得と行動変容につながります。
バイオフィルムは“力では落ちない”
バイオフィルムとは、細菌の集合体が作る保護膜のようなものです。台所のシンクにできるヌメりと同じ性質で、一度形成されると、ただ力任せにこすっても簡単には剥がれません。
よくある誤解に「強く磨けば落ちる」というものがあります。
しかし実際には、
・適切な角度
・軽い力
・細かいストローク
・時間のかけ方
の方が、バイオフィルム除去に有効です。
強く磨くクセのある患者さんには、歯ブラシの毛先が広がっていないかチェックしてあげると、自己認識の改善につながります。
また、歯医者さんにしか売っていない洗口液などもあるので、それを使ってみるのも効果的です。
電動歯ブラシは“正しく使えば”非常に効果的
電動歯ブラシは、忙しい現代人にとって非常に有効なツールです。
しかし、使い方を誤ると効果が半減するだけでなく、歯肉退縮の原因になることもあります。
よくある誤り
・手磨きと同じように「こする」
・当てる角度がずれている
・強い力で押し付けてしまう
・動かすスピードが速すぎる
正しい使い方
・“当てて動かす”ではなく“当てておく”
・毛先を歯と歯ぐきの境目へ45度で当てる
・力は150g程度(歯ブラシがしなる程度は強すぎ)
電動歯ブラシは、患者さんの生活習慣や性格に応じて「適している人・慎重に使う人」を分けて指導できると、患者満足度が高くなります。歯科衛生士によるブラッシング指導では、患者さんに実際にいつも使っているものを持って来ていただき、指導することも大切です。
患者さんが陥りやすい「NG磨き方」
●NG①:歯磨き粉をつけすぎる
爽快感だけが強まり、磨けていると錯覚する原因に。泡立ちが多いと“磨いたつもり”につながることも。
●NG②:1か所に時間をかけすぎる
全体のバランスが崩れ、磨けていない場所が増える。
●NG③:短時間で終わらせる
実際、2分以内に終わってしまう患者は多い。理想は3〜5分です。
●NG④:仕上げ磨きが早期に終了している(子ども)
10歳くらいまでは手指の器用さが不十分で、丁寧な磨きは難しい。
ポイントは“量より質”
歯磨きの本質は、「どれだけのバイオフィルムを除去できるか」に尽きます。だからこそ、
・時間の長さ=良い
・泡が多い=良い
・力強い=良い
といった誤解を取り除くことが重要です。
歯科医院では、患者の口腔内を見ながら、
「磨き残しのクセ」
「歯並びの特徴」
「リスクに応じた磨き方」
を個別に提案することで、患者さんの行動変容が高まります。
正しい磨き方を知るだけで予防は大きく前進する
歯磨きは「最も身近なセルフケア」であり、だからこそ自己流に陥りがちです。しかし、歯科の医学的・科学的な根拠に基づいた磨き方を知るだけで、虫歯や歯周病の発症リスクは大きく減らせます。
患者に“磨いている”から“磨けている”へステップアップしてもらうために、相模原駅ビル歯科では正しい知識を丁寧に伝え続けることが、予防歯科の質を高めると考えております。
お口に関する相談や定期検診は相模原駅ビル歯科へ!
YUKI.MARUMO